中小企業診断士 of 経営改善実践コンサルティング ウィレンス

中小企業診断士実務補習 指導員実績(2010年2月時点)

  • 2010年2月 アルミ関連製造業Y社(大阪市)年商約15億円/受講者数6名
  • 2009年8月 プラスチック関連製造業S社(兵庫県尼崎市)年商約40億円/受講者数6名
  • 2009年2月 金属卸売業H社(大阪府和泉市)年商約8億円/受講者数5名
  • 2008年8月 金属精錬加工業I社(大阪市)年商約13億円/受講者数6名
  • 2008年2月 データベース開発業B社(大阪市)年商約1億円/受講者数4名
  • 2007年8月 ビルメンテナンス業J社(大阪市)年商約2億円/受講者数6名
  • 2007年2月 倉庫関連請負業S社(大阪府吹田市)年商1億円/受講者数6名
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中小企業診断士実務補習における指導員としての想い(2009年5月掲載)

  • 私の顧問先企業もしくは以前から社長を存じている企業を実務補習の対象企業とした場合、私に少なからず予備知識があるため、初日のヒアリング前後に「島ノ内先生は、何か他に知ってるんじゃないですか~教えて下さいよ~」と実習生の皆さんからよく聞かれます。
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  • 診断協会指定様式の予備調査票に書かれたことの確認だけでなく、仮説検証といっては大げさですが、予備調査票には書かれていないが、業界動向などから想像される経営課題などをヒアリング等で聞き出すことも、診断士として大切なスキルですし、また企業に関するすべての情報がないと診断できない、という甘えを断ち切って頂くために、上記のような問いに対し、私が知っている企業の内部情報や経営者のお考えなどを、あえて実習生の皆さんにお伝えしないことも多々あります。
  • そんな中、今年(2009年)2月の実務補習で、診断協会からご紹介頂いた、それまで私がまったく知らない企業を初めて対象とすることになりました。
  • 予備調査票に記入頂くために、先方の社長とは何度かメールとお電話でやり取りしましたが、事前打ち合わせの日程調整が難しかったこともあり、事前に企業訪問する機会はなく、実務補習初日が、私としても当該企業への初訪問でした。
  • 初日のヒアリング以降、最終日の報告会までの日々において、実務補習実習生の皆さんと意見交換を重ねるわけですが、実習生の皆さんが経営課題の全体像を捉えないまま、局所解を提案しようとしたり、実習生の皆さんの分析や提案が企業にとって価値が低いと私には思われる場合、しばらく意見交換を眺めつつも、あるタイミングで「その内容はバリューがないよね(いつの間にか、この言葉が口癖になったようです)」と失礼ながらバサッと切り、企業の現状や経営課題を構造化したり、私なりに調べた公開情報から当該企業の収益増の可能性を具体的に示すなど、実行可能かつ分かりやすい改善提案を実習生の皆さんに例示することで、診断士として求められるレベルを体感頂きました。実務補習後、ある実習生の方から「この実務補習の期間中、先生の仕事への熱意・姿勢、そして独立コンサルタントとしての力をまざまざと見せていただき、大変刺激になりました(原文のまま)」といった有り難いメールを頂戴しました。
  • このように私が厳しく指導させて頂くのは、実習生の皆さんが単に診断士の資格を取得するだけでなく、実務補習という貴重な機会を通じて、診断士の仕事の進め方を肌で感じて頂き、独立するしないに関わらず、よりレベルの高い診断士になって頂きたい、という想いからです。
  • 早いもので指導員として、既に5社経験させて頂きました。実習生の皆さんとは、その後、研究会や同窓会を通じて、親交を続けさせて頂いております。

コンサルの卵を育てる ~中小企業診断士実務補習の現場にて~
産業能率 2008年6月号に、弊社代表取締役 島ノ内英久が寄稿しました)
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経営コンサルタントとしての国家資格である中小企業診断士になるには、一次試験(筆記)、二次試験(筆記、口述)を経て、実務補習を受けるという方法があります。
実務補習というのは、受講生5名前後で一つの班とし、計5日間、中小企業診断士の指導のもと、実際に企業に出向き、経営者へのヒアリングを行い、財務諸表を拝見し、小売業の場合は店舗を、製造業の場合は工場を見学し、業種特性を勘案した上で「経営戦略」「販売・営業」「生産・購買」「人事・労務」「財務・会計」等の視点で役割分担し現状分析および改善提案を診断報告書としてまとめ、経営者に対し報告会を行うというものです。

 ■実務補習のスケジュール例(今年2月、A社)
  第1日:2/15(金) 企業概要の理解、ヒアリング準備
  第2日:2/16(土) 企業見学、ヒアリング
     この間、メール等にて意見交換
  第3日:2/23(土) 意見交換、診断報告書作成
  第4日:2/24(日) 同上
  第5日:2/25(月) 企業にて報告会

私は若輩ながら先輩診断士として実務補習の指導員をやらせて頂いています。中小企業診断士がどのように育成されているのかを、コンサルタントの卵を育てる機会でもある中小企業診断士実務補習を通じてお伝えしたいと思います。

【第1~2日】企業見学、ヒアリング ~何を見なかったかも大切~

  • 企業を見学すると、店舗や工場、事務所などの3S(整理・整頓・清掃)など目に入ることに対して、出来ている、出来ていないを判断材料とし、そのまま診断報告書に書きがちですが、「何を見なかったのかも大切」です
  • 例えば、ある企業では従業員に業務上必要な技能向上を求める一方、ほめる、あるいは表彰するということを怠っており、当然ながら事務所にそのような仕組みが見当たりませんでした。現場見学の際、「この会社には何がないか?」を受講生が考えることで、会社として取り組めていないことを見出す意識が高まります。
  • 会社として必要と分かっていながらなかなか取り組めていないことを、客観的な視点で顕在化し、改善提案につなげることも、中小企業診断士として求められることの一つです。
  • またできるだけ、企業側のご協力のもと、経営者ヒアリングだけでなく、従業員ヒアリングの時間も取るようにしています。顧客や仕入れ先といった外部との対応や社内の業務の流れなどについて経営者から聞いたことを、あらためてゼロベースで従業員に伺うと、会社の現状が違った角度で顕在化します。

【第3~4日】診断報告書作成 ~勝負の時間~

  • 受講生の皆さんは、中小企業は人・モノ・カネ等様々な面で大変ということは何となく理解していても、実際に中小企業での見学やヒアリングを経験すると、指揮命令系統が不明確、業務マニュアルが不備、コンピュータの活用が低い、などどうしても中小企業のアラばかりが目立ってしまい、このため改善提案では、○○をすべき、○○が必要といったように、取り組むべき課題をたくさん挙げがちです。
  • 経営者はそんな課題は百も承知であり、しかし、いろんな理由でこれまで取り組めていなかったこと対し「いいね、それやってみよう」「それなら何とかできる」と思って頂ける、実現可能かつ具体的な改善提案に絞り込む必要があります。
  • この意味で、第3日、第4日は勝負の時間です。各企業の第一線で活躍しており、一次試験、二次試験を経た受講生にとって、パソコンを駆使して現状分析や改善提案をどんどん書いていくのは、時間さえあればなんとでもなります。
  • しかし、何十ページにわたる診断報告書ができようと、何ら本質をついていない現状分析や何ら改善につながらない提案といった空論では意味がありません。
  • 実現可能かつ具体的な改善提案に絞り込むには、第3日、第4日にホワイトボードを使いながらお互いの担当分野に関係なく何度も意見交換を重ね、診断報告書の製本が間に合うのかといった不安も抱えながら、本質的な現状分析や具体的な改善提案を考え抜きます。この過程では意見集約や時間管理など困難なことも多々ありますが、複数名から成るチームで行うコンサルティングの訓練でもあります。
  • 改善提案を考えることは大変ですが、中小企業診断士としての付加価値を生み出す大きな機会の一つです。以前、ある受講生から「改善提案はどうやって考えればいいですか。インターネットで調べればいいですか?」といった質問を受けました。
  • 「改善提案は、皆さんのこれまでの経験や現在のビジネスや日常生活の中にあります」と私は答えました。例えば、極めて特殊な商品を扱う企業でしたら、我々がビジネスや日常生活でまったく目にすることもなく、改善提案が思いつきにくいこともあるでしょう。
  • しかし、私が実務補習の指導を担当した企業を例に挙げると、物流倉庫作業請負業、ビルマンション清掃業、データベース受託開発業といった企業に対し、受講生は一見なじみがないため改善提案の思考が最初の頃は広がらないのですが、しかし、よくよく考えてみると、受講生のこれまでの経験や現在のビジネスや日常生活にいくらでもヒントがあるのです。
  • 例えば、自動車会社勤務の受講生は実家がお寺で、清掃価格よりも信用をおける業者に依頼したいというお寺における清掃業務のニーズを具体的に検討し、同業他社に比べ顧客クレームが少ないという強みを持ち、近隣に神社仏閣が多いビルマンション清掃会社への改善提案につなげました。
  • 企業の強みや機会を改善提案につなげることで、経営者から「業界全体も厳しいし、もうこの事業はやめようかと思っていたけど、今回の提案を聞いて、心機一転、頑張ってみようと思った。有難う」というお声を頂きます。このように実務補習では単なる現状分析でなく、経営者を動機づけるような提案を行うことも求められます。

【第5日】いよいよ報告会 ~クライマーズハイになるな~

  • 密度の高い意見交換を経て、いよいよ報告会の日です。
  • 第1日から数えておよそ1週間、家庭での団らんもそこそこに、受講生の皆さんはそれまでは縁もゆかりもなかった中小企業の現状と改善について考え抜いてきました(ある受講生は、奥さんから「何か最近大変そうだけど、活き活きしているわね」と言われたそうです)。
  • 報告会では、受講生の皆さんは自然とテンションが上がり素晴らしいプレゼンテーションをします。
  • しかし私は「今日の報告会は、登山者の気分が高揚するクライマーズハイと同じでしたね。1週間集中した後ですので、経営者の前では自然にそうなります。
  • 中小企業診断士としては第1日から、そのような状態でヒアリングや意見交換を進める必要があります。第1日、第2日だけでなく第3日も受講生同士お互いにまだ遠慮していましたよね。
  • それでは、企業の本質的な課題や具体的な改善提案につながる意見交換や案出しができるはずもありません。(このような実務補習を受講生はそれぞれの都合がつく日程で計3社行いますので)次の会社の時には、是非とも第1日からお互いに遠慮せず意見交換しましょう。
  • それが中小企業診断士としての力を高めることにつながります。最終日にだけクライマーズハイとならないようにしましょう」といったことを指導します。

実務補習受講生の中には、将来、独立を目指す方もいますが、独立は念頭になく、会社に勤務しながら、知識やスキルを高めたい、経営的な視野をもちたい、という動機からこの資格に挑戦している20代、30代の人も多くいます。
実務補習にご協力頂いた経営者の方から「実務補習の皆さんは会社から言われたわけでなく、自らこのような資格に挑戦して素晴らしいですね」とよく言われます。ある会社の報告会では経営者だけなく社員全員が同席されました。これは我々から同席を求めたわけではなく、「日常の仕事だけでなく、自分の力を高めたいという同世代の人たちがいるということを社員に肌で感じさせたい」という経営者の判断だったようです。

このような過程を経て、中小企業診断士が育成されています。

寄稿の機会を頂戴し、有り難うございました。
(社)大阪能率協会様に御礼申し上げます。